ダヴィンチ・コードを一気に読んだ

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ダヴィンチ・コード 文庫版ダヴィンチ・コード(文庫版)
僕の本の趣向はフランス文学とかイギリスの古典とかばかりで、いわゆるベストセラー作家の作品はほとんど読んだことがないです。ダニエル・キースが流行っていてもサルトルとか読んでたし、ハリー・ポッターとかが流行っててもボリス・ヴィアンとかレーモン・クノーとか読んでたりする偏屈者なわけです。小説といってもオスカー・ワイルドとかジェイムス・ジョイスとかちょっと一癖もふた癖もあるようなものばかり読んでいたし、あとはボードリヤールとかそのへんの哲学系の本を読んでわかった気になったり(笑)。
そんな僕が久しぶりに読んだベストセラー小説がこの『ダヴィンチ・コード』。大学院では大衆文化論っちゅうのを専攻していたせいで、カルチュラル・スタディーズという学派の文献をよく読んでいました。その文献でよく出てくるのが、「representation」(=表象)という概念。簡単に言うと、ソシュールのシニフィエ(言葉や文字面)とシニフィアン(想起されるイメージ)という概念を応用したモノです。
ダヴィンチが、彼の描き残した絵の中でキリスト教の隠されたメッセージを伝えているという話は前から知っていたのだけれど、最初この本はそうした隠されたメッセージを図像学的に説明した本だと思っていたわけ。カルチュラル・スタディーズでは、イメージとして残されたモノからメッセージを読み取っていくという方法がよくとられていて、そうした興味から読んでみたいなあと思っていました。が、実際は、それを題材としたミステリー小説だと知って、「そんなものおもしろいのかなあ」と高をくくっていたところもあったんだけど、読んでみるとこれがまた非常におもしろかった。象徴学の学者と暗号解読官が今日伝えられているものとは異なったキリスト教を知るためのキーを解き明かしながら、彼らが巻き込まれた事件を解決していく、というストーリー。これから映画も公開されるようだし、ネタバレになるような情報は書くのはやめようと思うのだけれど、クリスチャンではない僕が読んでも、非常に読みやすかったです。
僕は典型的な無宗教の人間なのです。というのも、合理的に説明できないモノを信じられるほど、きっと頭がよくないのだと思う。しかし、その宗教が人を救う力があるということは十分にわかっているつもり。人は誰でも、信じているモノがあるからこそ、生きていけるのだと思うから。キリスト教の真実を伝える聖杯をまつわるストーリーなんだけど、例え真実がどこにあろうとも、やはり自分が納得して信じることができれば、それがもっともその人にとっての救いとなるんだということが、この本を読み終わった後の感想でした。不思議と、ミステリー小説を読んだ後の爽快感というか、大円団みたいなモノを感じられなかった分、僕にとってはなじみやすかったのかなあなんて思っています。

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