先日、時計の電池を変えてもらうために、会社の帰りに新宿のヨドバシへGo。
ポイントも溜まってるし、なんかオモロイものないかな〜と時計総合館からマルチメディア本店に移動。
以前レビューしたAKGのポータブルヘッドフォン K450は、週一回3時間ぐらいかかる場所に通勤せざるを得ない嫁に貸してたんだけど、最近ちょっと使いたいな〜なんて思ってきたり。せっかくなので、めぼしいヘッドフォンでも見繕っていくかと。
嫁っ子は最近アナ雪のサントラばっかり聴いてる。
それ以外も、J-POPから演歌まで適当な選曲でテキトーに聴いてる感じ。ちなみにビットレートも大して良くはない。
ので、選ぶにあたって、以下の制限をかけてみた。
- 値段は3,000円以下 (楽しく音楽が聴ければいいみたいだから、それ以上高くてもどうせ違いがわからないし)
- 折りたたみ機構があること(できればスイーベルだけじゃなくて、ポキっと折れるようなのがいい)
- ビットレートが低い曲もたくさんあるので、モニターライクじゃなくて多少味付けしてあるのがベスト
- 全体の音質は値段なりでOKだけど、特定の周波数だけ強調しまくるのはNG、あくまでバランス
- (一応)女性なので、デザイン・色も悪くないこと (ちなみにDAPはiPhone 5Sのゴールド)
まあ普通に考えて、この価格帯だと海外メーカーはないだろう、と思ったので、国内メーカーから試聴開始。
まずはこんなに「需要あんの?」と思うほど低価格帯の種類が豊富なSONYさんから。
店内を見回す限り、とりあえず価格と折リたたみ機構を持つのは以下の2機種。
価格的にはMDR-ZX110が下位モデル、その上のモデルがMDR-ZX310というその上位機種とのこと。両機種とのカラバリは豊富だけど、フェミニンな感じの色が用意されているのはZX110のほう。
さて、とにかく試聴。
■MDR-ZX110/MDR-ZX310の試聴結果
なんだろう、この低音は。量感は問題なし、というか、出過ぎ。が、低音の解像度が低い。とにかく「低音と定義される周波数」の音をある程度ひとまとめに出している感じで、全然締りがない。SONY=一部の高級機 (目安として2万円以上)を覗いては「金属的なドンシャリ」というイメージなのだけど、この2機種は「シャリ」の部分が強調しすぎた低音とその量感により、完全に響きを失っている感じ。中〜高音域は完全に低音に潰され、全体に篭っちゃってる。う〜ん、これはアカンわ。110に比べれば、310は比較的中〜高音域の明瞭度は高いけど、それでもそれ以上の価格帯の製品に慣れている自分には耐えられなかった…。SONYさん、いくら廉価とはいえ、この音で大丈夫なのか??
続いて試聴対象に選んだのは、SONYと同じくこの価格帯での製品が充実しているAudio Technica。が、Audio Technicaの1,000円台のモデルはほとんどが華奢なオンイヤータイプなので、これらはみな対象から外す。もう少し大きくて、耳全体を包んでくれるようなものがベストなので。で、残った機種は1機種しかなかった。
■ATH-S100の試聴結果
まあ、audio-technicaのド競合はやっぱりSONYなんだろうな~というのが第一印象。というのも、音の傾向は上記MDR-ZX110によく似ている。ZX110の低音の量感をもうちょっと控えめにして(といっても普通のバランスからはかなり強調されている)、中高音をもう少し底上げした感じ。だけど、音の分解能や高音の伸びはやはり強調された低音に消され、全体的に曇ったサウンド。折りたたみ機構もスイーベルのみなので、全体が薄くはなるが全体的な体積からすると、少し女性のカバンには大きくなってじゃまだろうな。またデザインも、audio-technicaのストリート系・DJ系のデザインを踏襲していて、あまりスマートな感じもしない。
この3機種を聴いた時点で、SONYとaudio-technicaは候補から外れました。残念。
次いで聴いたのはPioneerのSE-MJ522。
カラバリが非常に豊富で、フェミニンな感じのカラーも有り。スイーベル機構に加え、イヤーマフの部分がヘッドバンド内に収納されるので結構コンパクトになる。とりあえず外観上の機能は要件を満たしているので早速試聴。
■SE-MJ522の試聴結果
こちらもやはり低音重視。やっぱりこの価格帯は低音がキーワードなのかしらん。が、思ったほど中〜高域も出ていなくはない。解像度はやっぱり値段なりで、周波数の近い音は「粒」というよりも「塊」で聞こえる感じ。ただ、なんか違和感を感じたのは、全体に薄〜く膜のようなものがかかっているから。どの音域も音は出ているのだけれど、全域にわたって明瞭さに欠けてる。が、まあバランス的には許せる感じかも。
外装はプラスチッキーで安っぽいのだけれど、それはこの価格帯のものはみんないっしょでしょ。デザイン自体は非常に洗練されている感じ。
ちなみに上位モデルのSE-MJ542のほうも聴いてみた。こちらは外装にアルミ素材を使っていて、522よりも製品としての質感は高め。音の方は同じ傾向ながら、全体的な明瞭さがぜんぜん違う。522よりも低音寄りに聞こえた。
2,000円ぐらいの差なので、たぶん普通の人はこちらを買ったほうが正解かも。
が、残念ながら3,000円以下という予算限界を突破しているので候補から外しました。
Pioneerはキープしておき、いざ次、Victor (JVC)のHA-S400へ。
サイトによると、カーボンナノチューブ振動板とやらを搭載しているらしい。まあこのへんは音質につながる特徴なので良いとして、この製品は3wayの折りたたみができること。単なるスイーベルの状態にすることもできるし、そこからイヤーマフを折り込むことができる。それに加えて、スイーベルを使わずに立体的に折りたたむことができる。うん、これポイントかも。
■HA-S400の試聴結果
さて肝心の音質。これまた低音寄りで、中音をすっ飛ばして高音はなっている感じで、典型的なドンシャリ傾向。が、Pioneerに見られたような薄い膜は感じられず、音自体はキラキラした感じで印象は良かった。コンプレッサーをかけまくったJ-POPにはバッチリ合いそうな音の味付けかも。これまでに試聴してきたやつよりは全然良いかも。まあ解像度はやっぱり低いけど、これはもう、この価格帯の宿命ということで。
こいつの減点ポイントは「デザイン」。まあ、これは完全に好みだろうけど、ヘッドバンドからイヤパッドに至るまでの造形が太く、なんか野暮ったいのよね…。また、イヤーパッドの端からヘッドバンドがつながっている形なので、ちょっとフィット感が悪いかもしれない。側圧自体は可もなく不可もなくといった感じなんだけど…。
というわけで、音質的にはPioneer SE-MJ522よりもJVC HA-S400だろうと目星をつけつつ、ちょっとデザインがな〜と感じつつ、さらに売り場を散策。
最後に辿り着いたのが、DENONのAH-P372。
なぜかこのヘッドフォンだけちょっと離れたところにおいてあったので、見逃すところだった。さっそく試聴。
■AH-P372の試聴結果
うん、これもやっぱり典型的なドンシャリ傾向。低音寄り、中音域ほどほど、高音域キンキン。が、高音は刺さるほどは出ておらず、その分中音域、特にボーカルが前に出ている感じ。全域にわたって音自体はクリアだし、聴いていて楽しさを感じさせてくれる。モニター系に比べれば、原音忠実性は大きく劣るんだけど、味の付け方が元気いっぱいな感じだし、シャリの部分が少し抑えられているせいか、ちょっとおとなし目の曲でもしっとりと聴ける。ドンシャリ傾向のオールラウンダーといった趣。
付属のコードは50cm程度と短いが、80cmの延長ケーブル、(100均で売っているものよりも安っぽいけど)一応ポーチも付いている。デザインは、Pioneer SE-MJ522よりも野暮ったいが、全体がスマートでHA-S400よりもいい。折り畳み方法はイヤーパッドをひねるような感じで収納するちょっとくせのある形ながら、幅はかなり小さいところまで折りたためる。
というわけで、最終的な結論はDENON AH-P372と相成りました。
Amazonのほうが安いけど、「リアル店舗で試聴だけしてネットで注文」という行為が日本の経済をダメにするとわりとマジメに思っているので、その場でお買い上げ@3,000円ポッキリでした。
いやしかし、この価格帯のヘッドフォンは、自分で買おうとは思わないけど、聴き比べるとすごく楽しい。ほんと、メーカーによってはっきりと分かる違いがありますね。低音を強調しすぎ、という点ではほぼ一致しているのだけど、「安い値段でどんな音に仕上げるか」というところにメーカーの哲学がはっきりと表れている気がする。おそらくこの価格帯が一番売れるのだろうし (DAP用のヘッドフォンに1万も2万も出す人のほうがまれのような気がする)。
長々と描いてみましたが、参考なれば幸いです!