相田みつを美術館で行われていた「チベット砂曼荼羅の世界」という展示をみてきました。僕自身は信仰心みたいなものは欠片もない人間なので、バックグラウンドにある宗教的な思想というのはよくわかりません。単純に、人が何かの思いを込めて制作した芸術品として見てきました。
音楽も絵画もそうなのだけれど、個人的には「芸術」には、自分がそこに込めた思いがどれだけの多様性・多解釈性を持って第三者に伝わるか、ということが大切だと思っています。そういう意味では、この砂曼荼羅はすごかった。
お坊さんが、ヒダのついた細い鉄の棒の中に砂を入れ、そのヒダをこすることで曼荼羅の上に色とりどりの砂を落としていく。ひたすらこの作業を行っていって、一つの曼荼羅を作り上げていく。
2枚目の写真を見てもらえるとわかると思うけど、砂を落として模様を作っていくので、近くで見ると、とても立体感がある。曼荼羅自体は2次元のデザインなのだけれど、その立体感が曼荼羅に「奥行き」というもう一つの次元を加えている。こうした立体感から、チベット仏教にある独特の世界観を感じ取ることができると思います。まあ、その後に行われたデザイナーの杉浦康平さんのトークショーで、こんな解釈が紹介されることはなかったのだけれど(笑)。