以前、SONYのPHA-1のレビューを書きましたが、それ以外にも使っているポータブルヘッドフォンアンプ (以下ポタアン)があと2つあります。
それがiBasso D2 + Hj BoaとFiio E07K “ANDES”。
今日は、この2つのポタアンの比較レビューをば。
■iBasso D2 + Hj Boaの特徴
僕を泥沼wwへと引きずり込んでくれた記念すべきポタアンがこいつ。なんだかもう公式ではディスコンになってるみたいね。
正直、こいつを買うまで「ポタアンなんか意味あんのかな」と思ってた。が、こんなちっちゃな筐体のものをiPodに接続するだけで、音がめちゃめちゃエネルギッシュになった。といっても、やっぱり出口であるイヤフォン・ヘッドフォンに先に投資するからこそ感じることができる恩恵なのだけれど。
筐体はヘアライン仕上げで高級感を演出。
前面にはアナログインとヘッドフォンアウト、ゲイン切り替えスイッチと電源スイッチを兼ねたボリュームタブ。
背面にはPCと接続してUSB-DACで使うためのUSB B miniポート(+充電用のポートも兼ねてます)とLink LED、Charge切り替えボタン。DACとして使う場合にはChargeをOFFに、充電する際はChargeをONにします。が、ChargeをONにしたままでもDACとして使える様子 (まあ、ノイズが乗るみたいだけど)。
USB-DACとしての機能は最大16bit/48KHzと控えめ。簡単に言うとDVDの音声止まりの対応で、今の定義だとハイレゾとは言えないはず。
が、もともとUSB-DACの機能はなんの期待もしていないし、使う予定もなかったので、購入時は全く気にしませんでした。
バッテリの保ちはびっくりの最大38時間。会社への往復で使う分には、一週間近く充電しなくてもいいのはすごくストレスフリー。
■Fiio E07K “ANDES”の特徴
一方のFiio E07K。こいつは2台目のポタアンでした。D2 + Hj Boaのイヤホンジャックが若干緩くなってしまっていて、テンションがかかるとたまに抜けてしまうことがあったので、臨時収入が入って淀のポイントが溜まった時に一気に買ってしまったもの。
こちらは現在も現行品のようだね。
D2 + Hj Boaがアナログのヘッドフォンアンプ然としている一方、こちらはアナログのみの対応ながらも、有機ELディスプレイやデジタルボリュームなどを備えたちょっと未来派志向の製品デザイン。
前面下部はやっぱりヘアライン仕上げにFiioのロゴ、その上は(おそらく)ポリカーボネートがアクセントのデザインとなりながらも、本体上部に有機ELディスプレイが。
下部にはアナログインがあり、下部からINし、上部からヘッドフォンアウトを出す取り回しになります。
側面にはデジタルボリュームと各種機能にアクセスするためのMENUボタン。
本体上部には、「余裕のパワー」を誇示するかのような2つのヘッドフォンジャックが。
背面は全面ヘアライン仕上げで美しい。Fiioの製品は「山」の名前がコードネームになっていて、E07Kのコードネームは”ANDES”。誇らしげにそれがプリントされてます。
USB-DACとしての機能は、D2 + Hj Boaとは世代が違うから当然と言っちゃ当然なんだが、最大24bit / 96KHzまで対応していて、一応デジタル的にはハイレゾ対応。が、DAPからデジタルINはできないので、あくまでPCやMacとのUSB接続でハイレゾを使う感じ。
■音質評価
というわけで肝心の音質評価。といっても、オーディオ評論家のような耳も語彙も持たないので、あくまでご参考までww。
環境は以下のとおり。
ヘッドフォン: SONY MDR-1RMK2 (レビューはこちら)
※ちなみにMDR-1RMK2、後継機発表のためディスコンになったみたい。amazonならまだ新品いけるっぽい。
ヘッドフォンケーブル: オヤイデ HPC-35 1.3m (レビューはこちら)
ステレオミニ-Dockケーブル: Moon and Tide DM4200 Lowrider
DAP: iPod Classic (2009) 160GB
試聴に使った音源はこちら、Bjorkの”Hyper-ballad”。
打ち込み系特有の超低域でうなるベースと乾いたハイハット、スペーシーなシンセにBjorkの高い声質がマッチする名曲。
低音の沈み込みやキレを試すのには十分だし、女性ボーカルの伸びやハイハットの音の分離感を感じるのにももってこいなんで、個人的にはヘッドフォンリファレンスとしている1曲。
まずはiBasso D2 + Hj Boaから。
低音域:量感はまずまずながらどこか重みが足りない直刺しから比べると、明らかに低音の沈み込みが深く、音に没頭できるようになる。
この曲が意図している低音のサステインもさすがの表現力。かといって、不要な情報はサステインさせずにしっかりとキレてる。
中音域:少し引っ込んだ感じはするけど、元気がよい感じ。中音域の解像度はちょっと不足していると感じられるけど、それは能力不足に起因するものではなくて、リスニングよりにチューニングした結果っぽい。聴き疲れせず、楽しく音楽が聴けるホドホド感がたまらない。
高音域:よく出てる。特に刺さることもない。Bjorkの声の伸びも、完璧とは言えないまでもしっかりと表現してくれてる。ただ、若干「味付けのある」高音になっているような気がする。特にハイハットの響きなどはちょっと強調されているような気も。
次にFiio E07K。
低音域:BASSをいじらない段階では、あきらかにD2 + Hj Boaの勝ちかな。低音のキレは十分だけど、引きずり込まれるような深い低音は感じられない。とはいえ、直刺しとは比較にならないほど、量感も質感も良好。
中音域:これはFiiO E07Kの勝ち。引っ込まず、しっかりと前に出てくることで、音楽全体の輪郭がはっきりする感じ。
高音域:これは引き分け。というか、傾向が違う。D2 + Hj Boaは、とにかく元気な高音を鳴らしている一方で、Fiio E07Kは若干大人し目ながらも、伸びや残響感などの表現力が高い。
こうやって比較してみると、両機のポジショニングがはっきりしてくる感じ。
Fiioは、TREBLE, BASSの調節が出来たり、細かくGAINの調整ができる。だから、「ユーザーが自由に弄って好みの音楽を見つけてね」という感じで、その分、素の状態では味付けが少ない音を出しているような。名付けるなら「究極(言い過ぎ?)の汎用機」といった趣。
一方のD2 + Hj Boaは、とにかく高音と低音を元気よくエネルギッシュにすることに注力して、「音楽を聴く楽しみを再発見」的な。バッテリが38時間も保つことも、「音楽を楽しむのにバッテリなんて気にしてられないでしょ?」というメッセージに聞こえてしまう(実際、SONY PHA-1などを使っていると、バッテリーがなくなることを常にどこかで心配してたりするので、このストレスフリーは実際大きい)。
というわけで僕自身の使い分け。
元気のよいロック、特に3ピースのロックンロールバンドやグランジ、音がキラキラしててほしい打ち込み系の音楽を聞きたい気分の時とか、仕事が忙しくて「ノリで大量の仕事をやっつけたい」時はD2 + Hj Boaを持ち出す。何が聴きたいかぼやっとしているけど、「手を変え品を変え」で手当たり次第に音楽を聴くようなモードの時はFiio E07Kを、てな具合に使い分けてます。かばんの容量に余裕が有るときはもっぱらPHA-1だけど、小さなかばんの時 (特にスーツを着なきゃいけない時など)はどちらかを持ち出すケースが多いかな。
しかし、ポタアンのスパイラルはいつ止まるのだろう…。
“iBasso D2 + Hj Boa & Fiio E07K比較レビュー!” への1件のフィードバック