いきなりちょっとネガティブになるタイトル(笑)。
何故不遇かは、後ほどですが、結論から言いますと、いいですよ、これ。ロックを聴くには最強と言われている「HD25 II」を超える傑作ともいえるヘッドフォン!
Sennheiser HD 8 DJ
目次
はじめに
DJヘッドフォンというと、大音量が流れる会場でも音をモニタリングできるようにするために、うるさい場所で消えづらくなる低音を強調したモデルがほとんど。
僕のようななるべく色付けはなく、モニタライクなヘッドフォンが好みの人間からすれば、正反対のイメージを持つヘッドフォン。が、いい意味でこれを裏切ってくれるのが HD 8 DJでした。
Sennheiser HD8DJの仕上げ
まずは持ってみるだけで作りの良さが分かります。なんというか、重量感がある。
全体的には、重厚なガンメタリックの配色に、ロゴがSennheiserブルーで目立ち、無難ながらも個性を主張してる。
素材はなんだろう、たぶん樹脂製だと思うのだけれど、全体的にざらついていて手から滑り落ちにくい。
何よりびっくりするのは、捻じ曲げようが何をしようが、ぱっと元通りに戻ってくれる不思議な素材を使っている点。
こりゃ剛性高いわ。
片耳モニタリングを快適にするためのピボットリングも、光沢のあるステンレススチールを使い、剛性のアップおよび見た目の良さに繋がってますね。
ヘッドバンドは厚く、内側にはクッション素材を採用していて、長時間の装着でも痛みが出ないように作ってあります。
(実際には重いので痛くなりますがww)
全体的には高級感たっぷりで、文句のない仕上げ。
まあこの値段ですから、高級感はあって然るべきなんですけどね。
Sennheiser HD8DJの装着感
イヤーパッドはかなり柔らかく、手触りも素晴らしい。
が、かなりの厚さがあるので、収納時には嵩張ること間違いなし。
ヘッドホンを装着していると外から見えないイヤーパッド内部もSennheiserブルーの配色にして外観上のアクセントを出すこだわり。
側圧はかなり強めだと思うけど、同社のベストセラーモデル HD25 IIに比べればなんてことはない。
僕は普段メガネっ子ですが、アラウンドイヤータイプなこともあり、痛くなったことはないです。
長時間装着で真っ先に来るの、やはりヘッドバンドがあたる頭頂部。
ヘッドフォン自体がかなり重量があることも手伝い、1時間もすれば痛くなります。
が、ピボットリングを適当に回して角度を変えることなどで、スイートスポットが幅広く設定できるので、少し痛くなったらずらすなどすれば実用上あんまり問題を感じてないですね。
ケーブルは着脱式で、左右の両方につけられるのも地味なポイント。
ヘッドフォンで片出しの場合、左出しの仕様がほとんどなんだろうけど、バックに入れたDAPとの配線を考えると、個人的には右出しができるだけでかなり使い勝手が変わってくるんですよね。
Sennheiser HD8DJの音質
まあ、プロではないので、参考までに自分なりの音質レビューをば。
まとめとしての印象は、「HD25 IIの上位互換」といったところ。
まず低音。量感は十分。EDMやクラブ系の音楽だけを聴くと低音過多だと思われてしまうかもしれないけど、できれば静かめのジャズのウッドベースを聞いてみてほしい。量感がありながらも、低音は塊としては飛んできていなくて、ちゃんと分解してくれてる。
しかも、バスドラのキックで音が鳴るところから消え入るところまで、よく聴くと繊細に描い出てくれてる。
ロックを聴くには最強と言われているHD25 IIの低音のキレはそのまま残ってる。まずは低音の質にびっくりした。
続いて中〜高音域。
DJホンということもあり、重心自体はやはり下の方にあることは否定しないけど、実は高音域もしっかりと出ているのね。
こっちの分解能もおそらくは標準以上で、ハイハットの響きとシンバルとをちゃんと区別して聴き取ることができる。
密閉ということもあり、さすがに高音域の伸びはあまり期待できないところだけど、それはこのヘッドフォンの使用想定に外れる、といったところのかも。中音域は、若干かまぼこ気味かもしれない。前に出てくる感じもしないけど、奥に引っ込んでいる感じもない。
音場は、密閉型にしてはかなり広い方だと思う。
まあ、本体がでかいので当然っちゃあ当然だけどね。
こんな感じで、HD25 IIの凄まじいばかりの低音のキレを残しつつ、筐体の大きさを活かしてより音場と量感を出し、モニター的な用途にもしっかりと対応できるように分解能も用意しましたよ、というモデル。
正直、個人的にはHD25 IIを凌駕している、と思います。
なぜ不遇のヘッドフォンなの?
なぜこのヘッドフォンが不遇なのか?という点。
実は、もっともっと評価されてもいいヘッドフォンだと思うのね、HD 8 DJは。
でも、HD6 MIX, HD 7, HD 8 DJが発売された後すぐに、Momentam(通称「木綿」)のオンイヤーが出たり、Urbaniteという新しいシリーズが出たりして、Sennheiser的にはこっちのマーケティングでいっぱいいっぱいみたい。
momentum On-Ear (Black)
Urbanite
なので、てこ入れもされずに、なんだかマーケティング上中途半端な位置付けのままずっと売られ続けているのね。
というわけでまとめ。
1.5mのカールコード、3mのストレートコードが付属しているけど、カールコードは使いづらい、本体は重くてかさばる、という点に目をつぶれば、正直Momentam On-EarやUrbaniteよりも全然買う価値はあるし、値段以上の所有感と音質を提供してくるはずなんだけど…。
そういった点で不遇のヘッドフォンだと思ってます。
最後のケーブルの問題だけど、実は開放型のHD550シリーズの交換用ストレートケーブルが、ちょっと加工するだけで使えたりします。
本体側のジャックの太さが若干細いので、ここをリューターなどでグリグリと削ってしまい、プラクサスかなんかで仕上げする。
その結果のプラグはこんな感じ。
ロック機構のくぼみも十分に確保できるから、抜け落ちないようなロックもちゃんと効くし。
この作業さえしちゃえば、HD 8 DJのリケーブルが可能になり、1.2mのストレートケーブルでより取り回しがアップします。
実際に僕もこれで使ってます!
ロック好き、低音寄りの音楽が好みという人には、予算次第ですが、十分にお勧めできる機種です!