さて、前回のご紹介したまた無駄遣い新たなる投資をした、というお話の続きです。
クリートを取り付ける
造形とデザインの美しさに惚れ惚れしているだけでは、このシューズで走りには行けない。
走るためには、ペダルとシューズとをつなぐクリートをつけなければなりません。
使っているペダルは、SHIMANOの105グレードのペダル、PD-5800。
当然、クリートもSHIMANOの規格であるSPD-SLを選ぶことになります。
SHIMANOのSPD-SLクリートには赤、青、白の3種類があります。
順に、赤(SM-SH10)は遊びなく完全に固定されるクリート。
青(SM-SH12)は、左右に1度の遊びがあるタイプ。
黄色(SM-SH11)は、3度の遊びがあるタイプ。
詳しい違いは、ワールドサイクルさんのページに解説があるのでそちらをどーぞ。
ワールドサイクル・シマノのロード用クリートは3種類。その違いをご存知か?
ペダルには、最も遊びが多い黄色が付属しているのだけれど、使ってみたところちょっと遊びが多すぎ。
踏んでも力が逃げてしまっているような気がしてならなかった。
クリートの位置調整が甘かったり、ペダリングが下手だったりすると、遊びがないクリートではひざに痛みが出る、とよく書かれているので、正直かなりビビりながらだったけど赤に挑戦。
結果、100km以上の距離を走っても特にひざに来ることもなかったため、それ以来ずっと赤を愛用しています。
というわけでハイ、今回も赤を用意。
ちなみに、気分的にのんびり乗りたいときは青のクリートがついてるMavicを使っています。
買う時から心配だった「ソールの反り」
ただ、クリートを取り付ける以前に、買う時から悩んでいたことが。
国内のfizik代理店であるカワシマサイクルサプライの公式では、以下の記述があるのです。
【クリート取り付け時の注意点】
使用されるクリートのメーカー、またシューズのサイズによっては、クリートのカーブとアウトソールのカーブが合わないことがあります。無理に取り付けるとクリートが破損したり、クリートがしなりペダルと固定しにくくなる可能性があります。このような場合には、アウトソールとクリートの隙間を埋めるようなスペーサーを適宜ご用意いただき、調整を行ってください。(フィジークではスペーサーのご用意をしておりません)
出典: カワシマサイクルサプライ
要は、「クリートの反りとソールの反りとが合わないのに無理やり取り付けたらアカン、その場合はスペーサー挟んでね」ということなのだが、SH-SM10とfizik R1Bの相性について書いたページがどこにもない…。
SHIMANO純正のスペーサーはもちろんあるのだが….
左右の足長の差を調整する為のスペーサー シューズとクリートの間に本品を挟むことで、左右の足長の差を修正できます。
出典: amazon.co.jp
って、目的違くない…?
というわけで、事前に準備はせずに行き当たりばったり突撃することにしました。
スペーサー不要でSPD-SLクリートが付くよ
というわけで、まず最初に確認したのがクリートとfizik R1Bソールとの相性問題。
細かい位置などは気にせずに、付属のボルトで仮止めをしてみると…
「なんだ、ちゃんとR(アール)あってんじゃん!」
念のため若干位置をずらしたりして確認してみましたが、取り付けたからといって変な形に力が入ることはなさそう。
結論、「fizik R1B 100°GIRO LIMITED EDITIONには、シマノのSPD-SLクリートSH-SM10(赤)はスペーサーなしで取り付け可能!」
僕なりのクリート取付のコツ
さて、いよいよクリートの取り付け。
3足目なので、これまでの試行錯誤を駆使しながら取り付けていきます。
クリートをどう合わせるかは、ほぼ哲学的とも言えるほどの議論がされているようです。
おっちゃんには難しい話はよくわからないので、とりあえず最もよく言われている
「拇指球と小指球の直線上にクリートの中心合わせる」方法をベースにしています。
出典: サイクルベースあさひ・SPD-SLクリートの取り付け
自分なりの合わせ方は、まず、白いコピー用紙の上に足を置き、足の上半分とかかとの位置をマーキングします。
僕の場合、小指球の上側、小指の付け根のあたりとの直線状に合わせたほうがペダリングに力が入れやすいと感じています。
そのため、拇指球と小指球の付け根にマーキングをし、直線を引っ張ります。
これを、紙の裏側からなぞります。これで足の鏡像が取れます。
クリートの中心が直線状に来る位置に目分量で合わせます。
クリートのボルトは固着しやすいので、グリスは必須。
グリスは定番のデュラグリス。
これをボルトに少量つけて仮止めをします。
この時、先ほどの足型とシューズの位置合わせでは、シューズの中で自分の足のかかとが来る位置を基準にセットしています。
大体の位置が決まったら、もう少し強めにボルトを締めこみます。
本締めまではいきません。
強めの仮締めが終わったら、実際にシューズを履き、その場でペダルをこぐイメージで足に力を入れてみます。
クリートと地面の接地に違和感があるようなら、前後関係を若干修正します。
前後の位置が決まったら、クリートがつま先に向かって真っすぐになるように角度を調整してボルトを本締め。
これを左右繰り返して終了です。
出来上がりの図。う、美しい…。惚れ惚れしちゃいました。
あとは実走で調整
あとは、実際に走ってみて調整するのが一番。
ガチのレーサーであれば、ほんとにミリ単位での調整が必要になるのだと思うのだけれど、趣味でやってる貧脚中年にとっては、前後位置の調整は一発で決まってしまうことがほとんど。
走ってみて、「クリートキャッチしづらいなあ」とか、「なんか内股(もしくはガニ股)で固定されるな」と感じたら、クリートの取り付ける角度を微調整して、最適なポイントを探っていきます。
僕の場合は、ほとんど「クリートキャッチしづらい」、「一度ペダルを外した後、なかなかはまらない」と感じる時が一番の修正ポイントです。
5kmや10kmのライドではなかなか感じることができないので、30km以上でかつ若干強めの強度で乗ってみると、同修正すればよいのかがなんとなく見えてきます。
というわけで、fizik R1Bのシェイクダウンを兼ねて、久しぶりの多摩湖一周ライドをこなしてきました。
行程の半分ぐらいでクリートを微調整するために、アーレンキーをもってね。
実走を踏まえてのインプレ
実際に履いて走ってみた感想は、「いやあ、さすがにトップグレードのシューズ」。
一体構造のアッパーは足の甲全体をがっちりとホールドしてくれるので、フィット感がすごい。
バックルよりもさらに微調整できるBOAダイヤルのおかげで、シューズの中で足が動くこともない。
SIDIのGENIUS 5-FITやMavicのAksiumでもソールの剛性は十分だと思っていたのだけれど、さらにその上のグレードであるR1Bを経験してしまうと、「こういうのをソールの剛性っていうんだ!」と思ってしまうほどのカッチリ感。
踏み込んでも、ソールはびくともしない。
が、20kmを過ぎたあたりから土踏まずのあたりに少し痛みを感ました。
これはもしかして、ソールの剛性が高すぎるがゆえに、足に反発力を感じて疲れてしまっているのでは?と思いながら、原因を考えつつ走ってみた。
それでわかったのは、拇指球のあたりに無意識に力を入れてペダルを回していた、ということ。
そこで、足の裏の特定個所を意識してペダリングするのではなく、アンクリングしないように注意しつつ、足の裏の力を抜いて、足の重みを素直にペダルに伝えるように回してみた。
すると、そのほうがずっと楽にペダルを回せることに気づいたわけです。
久々に感じた、「ロードバイクの乗り方目にウロコ」でした。
あと、ソールのベンチレーションホールから涼しい風が入ってきて、足をクールダウンしてくれた。
特に登りでは顕著。
途中で休憩を兼ねてクリートの微調整をし、ライドを続行。
無事「これでOK」と思えるセッティングが完了しました。
正直、約38,000円という金額は安い買い物ではないのだけれど、使って最初のライドでまた一つ、速く、楽に回すためのコツをつかめたような気がします。
それだけでも、買ってよかったと思えるシューズでした。
バイクも大事だけど、シューズって結構効果の高い投資なんだと改めて教えられましたとさ。
気になる方は、ぜひ一度お試しあれ。
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