飯能エリア6峠巡りライド:子の権現・天目指峠・山伏峠・正丸峠・刈場坂峠 (苅場坂峠)・松郷峠

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さて、今月はどこ行こう、といつも悩むのですが、
先月は江ノ島〜鎌倉ライド、その前は琵琶湖一周と、平坦基調のコースのロングライドが続いていたこともあって、今月はすんなり「山いこ、山」と決まりました。

飯能エリア最強のヒルクラスポットといえば「子の権現」

関東、というか東京埼玉以外の人からすればあまり馴染みがないかもしれませんが、飯能エリアでは最強(最狂?最凶?)のヒルクラスポットと言われるのが「子の権現」。
厳密には、山の名前ではなく神社の名前で、その神社に至る前がありえないほどの激坂スポットとして有名なのです。

僕のような西武線沿線の多摩地区育ちの人間にとっては、実は子の権現や正丸峠などのエリアは、結構遠足やハイキングなどでも行くところでもあり、馴染みがあります。
ボーイスカウトをやっていたこともあり、あのあたりの山は結構登っている(ただし徒歩で)ので、なんとなく恐怖感も薄いのよね。

近畿一周ライドで関西最強とも言われる「暗峠」にチャレンジし、あと一歩というところまで行きました。
その前には百草園の激坂とも対戦、無事クリアし、図の乗っていましたヒルクライムに対する恐怖心が薄くなってきました。
「すげーと言われているけど、ちんたら登れば行けるんじゃね?」という軽い気持ちでチャレンジ決定です。

となると、あとは子の権現を中心に距離100km相当、獲得標高1,000m以上になるようにルートを引いてみるだけです。

「この辺、峠が多いし、1日でどれだけ多くの峠を越えられるかやってみよう」
「このエリアではときがわ町というのもよく聞くからそっちも回ってみよう」

気が狂いながら調子に乗ってルートを引いてみたら完成しました。

調子に乗って引いてみたら獲得標高2,000m超え

自分でルートを引いておいて、ぶっちゃけ目を疑いました。
獲得標高2,000mを超えています…。
ちなみに自分の最高獲得標高はしまなみ海道チャレンジの時の1,700m弱。

しまなみの獲得標高の大半はヒルクライムではなく、島と島とを結ぶ大きな橋へのアクセスで稼がれたもの。
あの頃よりも格段にロードの乗り方が上手くなっているとはいえ、獲得標高2,000mという数値に一抹の不安が。

この2,000mの中には、いくつかの峠が含まれます。

  • 子の権現 (標高607m)
  • 天目指峠 (標高489m)
  • 山伏峠 (標高608m)
  • 正丸峠 (標高633m)
  • 刈場坂峠 (苅場坂峠・標高817m)
  • 松郷峠 (標高331m)

飯能市役所をスタートし、市街地を抜けたら子の権現に向かって登坂開始。スタートからおよそ18kmで子の権現頂上へ。
その後一旦下ったあと、以前登った天目指峠を反対側から登る。
天目指峠を下り、県道53号線を北上したら、山伏峠、正丸峠の2連戦。
ここを無事超えたら、約4kmの下りを経て、奥武蔵グリーンラインの一部をなす刈場坂峠を登坂開始。
距離6km、平均斜度7.7%刈場坂峠が地味に心配で、ここまでの登りで削られた脚での我慢大会になるだろうと予想。
この峠さえクリアしてしまえば、あとは長いダウンヒルを経て、ときがわ町サイクルベースで休憩。
そこから北上して松郷峠を登り、さらに林道雲河原線、林道雀川上雲線のヒルクライム。
ここを抜けたら、あとは平坦基調のときがわ町市内、東松山、毛呂山町を経て飯能へ戻ってくる、というルート。

峠の平均斜度もそこそこあり、しかも登って降りて、登って降りてが70kmぐらい続く感じ。
冷静に考えれば「これ、ヤバイでしょ」ってなるのですが、なぜかチャレンジの日まで「まあ、なんとかなるでしょ」と甘く見ていた根拠のない自信を持ち続けていたのです…。

スタートは飯能市役所

というわけで、根拠のない自信を持ちながら当日を迎えました。
どうも、飯能市役所が休日に駐車場を無料開放しているとの情報があったので、輪行ではなく、トランポを選択。
車にバイクを乗せ、朝7時に自宅を出発。途中の買い出しを含め、8時すぎに飯能市役所に到着しました。

さすが飯能、結構ローディーの数が多く、市役所にもお揃いのジャージを着た、チームと思わしき人々もちらほら。
バイクを組み立て、準備体操をしていざ出発です。

最初は飯能の市街地を進みますが、このあたりはウォーミングアップと割り切り。
とはいえ、これまでの経験から「足が回るようになってきた」と思うまでには大体15kmほどの距離が必要であり、かつ朝が苦手な体質の僕。
なかなか思うように足が回ってくれません。

と言っているうちに、県道70号線から350号線に入ると、周りはいつのまにか田園風景。
この時点で、「やべ、ちょっときつい登りになりそう」と正気に戻った(涙)。

いよいよ子の権現に挑戦

県道350号線をしばらく行くと、竹寺と子の権現との分岐点に到着。

竹寺と子の権現の分岐点からスタート

竹寺と子の権現の分岐点からスタート

ここが子の権現3.5km登坂のスタート地点、と勝手に決めました。
ここで一旦バイクを降り、再度準備運動。それでもまだ体の動きがぎこちない。
やはりもうちょっと距離必要だったかなと後悔にも似た思いを残しつつ、登坂スタートです。

「序盤はそんなにきつくない」と色々なブログに紹介されています。この最初の区間は、斜度が大体3〜5%程度。
この区間で体が温まるよう、必死にケイデンスを上げていきます。

だんだん辛くなって行くのは、竹寺との分岐から1kmすぎたあたり。
このあたりから、斜度が8%〜15%程度となり、ヘラヘラ笑いながら登って行くと目から血が出るぐらいの辛さになっていきます。
それでも、インナローを使わずになんとか登ってみる。
(まあ、僕のVia Nironeは32Tという乙女ギア装備なので、ローから2段目でも28Tと、十分インナーローなんですけどね)。
「インナーローは、最後の区間まで取っておく!」と粘りながら、登っていきます。

それでも、残り1kmあたりからは「これ、斜度20%以上あるよね…?」と疑いたくなる、というか間違いなく疑っているほどの登りが続きます。
ここも、34T-28Tでダンシングをしながらなんとかクリア。
もうこの時点で心拍数と足は限界に近づいています。
すると見えてきた、残り400m区間の超激坂。

斜度26%って、誰だこんな坂作ったのは

斜度26%って、誰だこんな坂作ったのは

後から見てみると、Stravaさんでは斜度26.8%とな。
ここまで散々脚を使わされて心も削られている中で、このビジュアルはないだろ、マジで。
「人間どれだけ頑張っても、絶対に報われることはない」と言われているかのような絶望を感じながら、
「インナロー、開放!」

ガツン!
あ、あれ…?
「….、インナーローに入らない… (;_;)」
メカトラ発生。

リアディレーラーのケーブルの引きが足りず、28Tから32Tに落ちない。スプロケットとチェーンが接触する音がシャリシャリ。
慌てて28Tの落とそうとすると、もう心拍も限界に近づいていたためかシフトミス。
ががっと一気に25Tぐらいまでギアが上がってしまいました。
この時点で戦闘終了。足が完全に回らなくなり、心もポキっと逝ってしまいました…。

この最大斜度の登りで止まってしまうと、再スタートはもはや困難。
手で28Tにギアを入れなおし、斜度が緩む時点までトボトボ徒歩で登ります。

子の権現に到着

子の権現に到着

最大斜度の登りを終えると、若干斜度が緩むところがあるので、そこで改めて再スタート。
無事、子の権現までたどり着きました。

メカトラで足付きなし制覇は無理でしたが、ぶっちゃけメカトラがなかったとしてもクリアできたかどうかは微妙。
体を無理に温めようと、緩斜面で頑張りすぎたのと、残り400mの最大斜度区間を迎える前に出てくる10%台後半〜20%ぐらいの坂をもうちょっと余裕を持ってクリアできなかったのが敗因でしょう。
やはり、朝一でいきなり激坂はアカンです、はい。

子の権現登頂後すぐに迎えてくれる巨木

子の権現登頂後すぐに迎えてくれる巨木

なんとか登り切った後は、参拝をしながらこれから迎えるさらなる峠のために脚を休めます。

名物の黄金のわらじ

名物の黄金のわらじ

鉄製のわらじで足腰を守ってくれる神様なんだそうな。
そのご利益をもらいにくる途中で脚が終わるという虚しさ。

こちらも名物の不動明王は工事中

こちらも名物の不動明王は工事中

境内の入り口に佇む不動明王はあえなく工事中で、足場でがっちり固められています。

子の権現から降り、天目指峠へ

ひとしきり休んだ後は、子の権現を反対側に下ります。
ダウンヒルの距離はおよそ2kmぐらいと短いですが、かなりの急勾配で道幅も狭いため、注意して下ります。

降りて県道395号線に合流すると、そのまま天目指峠に登り返しです。
この峠、以前は南側(名栗方面)から登ったことがあるのですが、斜度も距離もヒルクライムを楽しめる丁度いい峠、という印象。
ただ、北側から登って行くと、斜度が全体的にゆるく、距離も2.2kmと短め。
子の権現で完全に砕かれた脚と精神を回復させるいいリハビリになりました。

天目指峠に登る

天目指峠に登る

頂上からの見通しがきかず、景色を楽しめないのはとても残念。
なお、ちょっと厨二病っぽいネーミングの峠ですが、写真のように、その名前の由来は単なる当て字で、かなりアナログな感じ。

山伏峠、正丸峠の2連戦へ

次は、天目指峠を県道53号線に向けて下った後北上し、山伏峠と正丸峠の2連戦を迎えます。

天目指峠の名栗側の下りは、舗装もよく道幅もかなり広いので、気持ちいいことこの上なし。
県道73号線との分岐を右折し、そのまま山伏峠の登り区間に突入です。

山伏峠のスペックは、登坂距離3.9km、平均斜度7%。
途中10%台の箇所もありますが距離は短く、あまり斜度が変わらずに淡々と登っていける峠です。

もはや最大の難敵子の権現を終えたので、後はもう完走が目標。
子の権現でリアディレーラーの調整をしなおしたので快調そのもの、インナーローを容赦なく使って「トルクではなく回転で」登っていきます。

山伏峠は有名な峠なので、ちらほら他に登っているローディーを出会うことができます。
というか、皆さん僕を抜いていってくれます(笑)。
その辺りはもうおかまいなしで、どんどん抜いていってもらいます。マイペースマイペース。

山伏峠でも景色は楽しめず

山伏峠でも景色は楽しめず

そうこうしていると、山伏峠の頂上に到着。
うん、ローディーが多いというのも頷ける、ヒルクライムにはもってこいの峠。
前述した通り淡々と登れるので、自分のペースを知るには良い峠なのかと。
ただやはり、眺望は開けず景色を楽しむことはできません。残念。

山伏峠を越えると、ちょっとの下りを経て、正丸峠への登坂開始。
正丸峠の登坂は距離1.5kmほど、平均斜度5%と、比較的緩やかな登りです。
こちらは斜度が緩いこともあってか順調に登り、登坂終了です。

正丸峠制覇

正丸峠制覇

正丸峠頂上には茶屋もあり、ゆっくり休憩することができます。
また、伊豆ヶ岳の登山コースでもあるため、ローディーのみならず、一般の登山客も多く見かけます。

正丸峠からの眺め

正丸峠からの眺め

正丸峠は、ここまで通ってきた峠とは異なり、一気に眺望が開けます。
風もよく通る峠のため「登ってきたなあ」と感慨に耽りつつ体力を回復させるにはもってこいですね。

虚空蔵峠を経て奥武蔵グリーンラインの刈場坂峠へ

正丸峠の次は、4kmほどの下りを挟んで、奥武蔵グリーンラインを構成する峠の一つである「刈場坂峠」に登っていきます。

刈場坂峠のスペックは、距離5.5km、平均斜度8%とかなりきつめ。
案の定、ここまでかなり登ってきた脚にはかなり辛い峠でした。
とはいえ、道も決して悪い方ではなく、また車の通りもあまりないため、ゆっくり登るには最適。
この日の本格的な登りとしては最後の峠でしたので、ほぼ終わりかけの足で、歩くぐらいのスピードでちんたらと登っていきました。

刈場坂峠手前の虚空蔵峠で一服

刈場坂峠手前の虚空蔵峠で一服

刈場坂峠の手前1.5kmほどに、「虚空蔵峠」というこれまた厨二病っぽい名前の峠に東屋があったので休憩。
山菜取りにきていたおばちゃんの集団とあい、しばしの談笑。

眺望が開ける刈場坂峠

眺望が開ける刈場坂峠

再出発し、無事刈場坂峠(苅場坂峠とも言うらしい)を制覇しました。

刈場坂峠からの景色。風が気持ちいい

刈場坂峠からの景色。風が気持ちいい

刈場坂峠(苅場坂峠)も開けており、奥武蔵の景色と自然を存分に楽しめます。

毛呂山町から秩父エリアまでの峠を縦走できる奥武蔵グリーンライン

毛呂山町から秩父エリアまでの峠を縦走できる奥武蔵グリーンライン

なお、この刈場坂峠(苅場坂峠)は、今日この後通過する予定の埼玉県毛呂山町から秩父エリアまでの峠を縦走できる「奥武蔵グリーンライン」を構成する峠の一部のようです。
いつかこのラインを縦走してみたいけど、一部未舗装のエリアもあるようで注意が必要かも。

長い下りの後、ときがわ町サイクルベースへ

刈場坂峠(苅場坂峠)の後は、ローディーの間でも有名なときがわベースサイクリングサポート (TOKIGAWA BASE)へ向かいます。

ときがわベースへと向かう道は、約12kmの長い下り。

急勾配を下っていく箇所もありますので注意が必要な区間ですが、コーナーでの減速にさえ気をつけていれば特に危険な下りではない。
安全なペースでも気持ちよく下っていけるコースでした。

「今日これ以上キツい登りはない」と思うと、精神的にも落ち着いて走っていくと、12kmはあっという間。

ときがわベースサイクリングサポート (TOKIGAWA BASE)に到着

ときがわベースサイクリングサポート (TOKIGAWA BASE)に到着

ときがわベースサイクリングサポート (TOKIGAWA BASE)に到着しました。
ぶっちゃけ、40年以上多摩地区に住んでいるくせに、「ときがわ町」という存在はロードバイクを始めてようやく知った地名でした。

この町は、「ときがわ町サイクルフェスタ」を開催していたり、町全体でサイクルラックの導入を進めるなど、ローディーにとっては天国のような待遇で迎えてくれます。

しまなみ海道に行った時もそうだったけど、こういう活動をしている町にはちょくちょく行きたくなるな。
サイクルフェスタ、来年は行ってみようかな。

聞いてないほど辛かった林道雲河原線、林道雀川上雲線

さて、このライドのクライマックスは刈場坂峠(苅場坂峠)で終わっていて、あとは松郷峠というちょっとした登りを経て、毛呂山町〜東松山を経て飯能に帰る予定でした。
が、予定外に辛かったのが松郷峠を登った後に組み込んでいた林道雲河原線、林道雀川上雲線の2つ。

松郷峠は、ときがわベース脇の道を北上して2kmほどいくと、すぐに到着します。
が、そこを右折し林道雲河原線に入ってもひたすら登る。中盤には13〜15%程度の登りもあり、終わりかけの脚+精神的にも気を抜いていた僕にはかなりしんどかった。計算すると、2kmないくらいで100mほど登っている。キツいわけだ…。
景色がいいわけでもなく、ご褒美が何もない辛さ。誰だ、この道をコースに組み込んだアホは!

あまりにしんどく、かつ景色がいいわけでもないので、写真もなし。すいません。

県道171号線から物見山を経由し、宮沢湖を経て飯能へ帰着

かなりしんどかった林道雲河原線、林道雀川上雲線を越えると、あとはほぼ平坦基調。
途中、東松山にある「物見山」を経由し、県道343号線と30号線を乗り継いで、宮沢湖脇を通り、飯能へ帰着します。

この辺りになると、もう完全に消化試合モード。
回復を考えながら、脚に負担のかからない速度で走って、安全に帰るだけです。

最終盤で登場した宮沢湖脇の坂 (登坂距離1.5km、平均斜度3%)もなんとかクリア。

宮沢湖は、小学生の時に遠足で来た以来だったので、ちょっと興味本位で寄ってみようと思いましたが…なんとクローズされていた。
帰って調べてみると、東京ドーム4個分の敷地にムーミンのテーマパークができるらしく、その中心が宮沢湖の再開発とのことらしい。
その名もメッツァ(Metsa)。

あれ、飯能にはムーミンの谷を再現した公園なかったっけ?
ああこれだ、「あけぼの子どもの森公園」。

子供連れて行ったことがあったはず。
メッツァも、子持ちの親にとってはちょっと興味あり。

なんだかんだで、17時ごろ、飯能市役所に帰着しました。

走行データ

というわけでこの日の走行データ。

ちなみに、80kmほど走った時点で寄ったコンビニで、汗にGARMINが反応してしまい記録が終了。一つのライドなのに、記録が2つに分かれてしまいました。
ロードバイク好きの独り言/CAAD8」さんのこの記事を参考に、GPXファイルを結合してStravaに上げたため、距離と獲得標高が少しおかしいことになっています。
正確には、距離は104kmぐらい、獲得標高は1900mぐらいでした。

とにかくこのライドでは、「いっぱい峠を登ってみよう」というのがテーマでした。
でも、やはり「どうせ登るなら景色がいいところに行きたい」というのが人情。
その意味では、正丸峠、刈場坂峠(苅場坂峠)は登っておいて損のない峠かと。
あとはときがわ町ね。来年はサイクルフェスタに行ってみよう。

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